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コラムVol.36 腸の働きとメンタルヘルスの関係

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コラムVol.36 腸の働きとメンタルヘルスの関係

はじめに

 現代社会はストレス社会と言われています。ストレスとは外部刺激により生じる心身の変化のことで、今年の暑さなどのような「物理的な要因」、対人関係などのような「心理的・社会的要因」、薬などのような「化学的要因」など、多くのものがストレスの原因となります。

猛暑から夏バテ気味で食欲がない、仕事での心配ごとがある、対人関係が上手くいかない・・・などから、なんとなく腸の調子が悪いな、と感じたことはありませんか。

実は腸は「第2の脳」と呼ばれていて、メンタルヘルスとも深く関係しています。そこで、今日は腸とメンタルヘルスの関係についてご紹介したいと思います。



目次

1.腸は第2の脳・・・脳腸相関

 「腸は第2の脳」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
 実は、腸は脳の次に神経細胞が多く、脳からの指令がなくとも独立して自分で考えて活動することができます。また、脳と腸は脳腸相関と言われ、お互いに影響を及ぼしています。

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2.脳と腸がお互いに影響を及ぼすとは・・・

 脳と腸がお互いに影響を及ぼすと、どのようなことが起こるのでしょうか。例えば、みなさんも人前でプレゼンしようと思ったら、緊張や不安で急にお腹が痛くなってしまった、といった経験があるのではないでしょうか。これはストレスを受けた脳から腸へ信号が送られたため、お腹が痛くなってしまったと考えられます。

 また、感情のコントロールやリラックスに関係する「セロトニン」というホルモンがあります。みなさんも「幸せホルモン」という言葉を耳にしたことはありませんか。このセロトニンが、幸せホルモンと呼ばれるものです。実は、この脳内のセロトニンの材料は腸から送られてくるため、腸内の細菌が乱れてしまうとセロトニンの生成量が少なくなると言われています。このように、脳から腸へ、腸から脳へとお互いに影響を及ぼしています。

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3.腸とメンタルヘルスの関係

 上記2に出てきたセロトニンというホルモンは、実は精神の安定に影響を与えるため、人のメンタルヘルスにも大きく関わります。セロトニンが不足してしまうと、緊張、不安、気持ちの高ぶりといった感情のコントロールが上手くいかなくなったり、不安やうつといった病気にも繋がると言われています。

 また、セロトニンは睡眠ホルモンの原料にもなっているため、生成量が少なくなると、睡眠にも影響を及ぼします。精神の安定に影響を与えるセロトニンの材料は腸から送られてくるため、腸はメンタルヘルスにとっても大切なものと言えます。


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 腸の環境が崩れることで脳に影響を与え、イライラしたり怒りっぽくなってしまい対人関係が上手くいかない、睡眠不足から仕事がはかどらないといったことにも繋がり、また、そのことがストレスとなり脳から腸に影響を及ぼすといった悪循環になってしまいます。

 そのため、ストレスを上手く発散をすることはもちろん、腸の環境を整えることは、毎日の仕事を楽しく頑張るためにも大切なことの1つと言えます。

 朝起きたら太陽の光を浴びて脳を目覚めさせ、決まった時間に食事をとるといった基本リズムは大切です。少し不摂生をしてしまった、腸の働きが悪いなと感じた時には、食生活に気を配り腸内環境を整えると同時に、ストレスを抱えていないかなど心にも目を向けてみましょう。
 また、秋は美味しい食べ物がたくさんあります・・・秋の食べ物を楽しみながら、美味しく楽しく腸内環境を整えてみてはいかがでしょうか。


参考:朝日新聞Reライフ.net 「大腸の不調と心の病の密な関係 うつ病と腸内環境、幸せホルモン
臨床心理士・公認心理師  高橋美千代

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