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コラムVol.39 冬季うつ(ウインター・ブルー)

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コラムVol.39 冬季うつ(ウインター・ブルー)

はじめに

 すっかり寒くなり冬の気配を感じる季節となりましたが気分の落ち込みなどはありませんか。
ある季節のみうつ症状が現れることを季節性気分障害、季節性感情障害といいますが、毎年秋~冬になると「気分が落ち込む」、「やる気がでない」、「以前楽しめた活動に興味が沸かない・・」などの症状が表れる季節性のうつ症状は、冬季うつ(ウインター・ブルー)とも呼ばれています。
今日は、冬季うつ(ウインター・ブルー)についてお話をしたいと思います。


目次

1.冬季うつの症状

 冬季うつにはどのような特徴があるのでしょうか。
まず、冬季うつは秋~冬にかけてうつの症状が始まり、春先にかけて回復するパターンが多いと言われています。
症状については、下記の表に示した通り、一般的なうつ病の代表的な症状は共通していますが、「食欲が増す」、「睡眠時間が長くなる」、「起きられない」といった違う症状も見られます。


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2.冬季うつの原因

 冬季うつの原因は日照時間と関係が深いと考えられており、冬季の日照時間が少ない北欧など高緯度地域で多いと言われています。
AFP BBNewsの記事を見ると「
スウェーデン人の実に9割が、程度の差はあれ季節性情動障害(SAD)、いわゆる冬季うつを訴える。専門の精神科医によると、孤独感、倦怠(けんたい)感、アルコールや甘いものの消費量が増えるといった症状を呈する」そうです。
では、どのようなメカニズムで日照時間が冬季うつに関係するのでしょうか。
冬になると日照時間が少なくなると同時に、寒くなるため屋内で過ごすことが多くなります。
太陽の光を浴びることが少なると、目から脳への光刺激が減少することで、精神を安定させる「セロトニン」の低下や、睡眠と覚醒に関係する「メラトニン」の分泌調節の不調が起こります。このことにより、気持ちの落ち込み、過眠や睡眠リズム障害といった症状が表れます。

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3.冬季うつの予防

 予防対策にはどうしたらよいのでしょうか。何といっても「朝、太陽の光を浴びる」ことです。曇りの日でも日光は体に届いているので、冬は太陽の光を浴びることを意識的に増やすことをお勧めします。また、人工的な光でも効果はあると言われていますので、上手く照明器具を活用するなどの工夫も考えてみましょう。冬の日照時間が少ない北欧では、クリスマスの約4週間前には街中を白いイルミネーションで飾り気持ちを明るくしたり、光に関係のあるイベントも多いそうで、楽しみながら人工的な光を活用しているのかもしれませんね。

 近頃、寒さが増してきて休みの日に外に出るのが面倒になっている方もいるかもしれませんが、太陽の光を浴びることは、以前のコラムでお話をした「良い睡眠」や「セルフケア」にも繋がります。ぜひ、この時期は意識的に太陽の光を浴びるようにしてみてはいかがでしょうか。

資料:APS BBNews 「闇よ消え去れ!北欧、「冬季うつ」を光で撃退
     産経新聞「医師に聞く 冬季うつの原因と予防法 日照時間の短さが症状に影響」 

臨床心理士・公認心理師 高橋 美千代



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