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コラムVol.37 音楽が心身に与える効果

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コラムVol.37 音楽が心身に与える効果

はじめに
 音楽は私たちの生活の中でとても身近にあるものです。

みなさんも、好きな曲を聴くと元気がでた、歌詞に共感して思わず涙した、若いころ聴いていた曲を耳にしたら昔の思い出が蘇った、などの経験があるのではないでしょうか。

 毎日、なにげなく聴いている音楽ですが、精神療法の1つとして音楽療法というものがあるように、実は脳機能への刺激、ストレスや不安の低減、癒しの効果などが知られています。今日は、音楽が皆さんの心身にどのような効果を与えるのかについてご紹介したいと思います。


目次

1. 音楽が心身に与える効果

 古代エジプトでは、音楽は「魂の薬」と呼ばれていました。また、多くの研究でも音楽は心身に様々な効果を与えることが分かっています。

現代はストレス社会と言われていますが、音楽はストレス対処法としても効果があると言われています。ストレスが溜まると、活動するときに働く「交感神経」とリラックスさせる「副交感神経」のバランスが崩れ、イライラしたり不安感が強くなってしまいます。音楽は脳の自律神経に働きかけることで心拍数や血圧が変化し副交感神経が優位になり、ストレス、不安、緊張の低減や、リラクゼーション効果があると言われています。

また、内に鬱積していたものが外に表現されることを「発散」と呼んでいますが、みなさんも、カラオケで大好きな曲を思いっきり歌ってスキッリした、ライブに行ってストレス発散した、などと感じた経験があると思います。これも、音楽の持つ発散という効果の1つです。

朝の満員電車はとてもストレスを感じますが、電車の中で好きな音楽を聴くことで、みなさん自然とストレス対処法を行っているのかもしれませんね。

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2.音楽と記憶

 みなさんも昔よく聴いていた曲を聴くと、懐かしい気持ちになったり、その時の感情や出来事を思い出したりする経験はありませんか。音楽と記憶は結びついていると言われています。懐かしさの感情が脳に与える効果として、ストレスの低減や幸福感の高まりなどが知られています。自分にとって良い思い出のある曲を、振り返って聴いてみるのも良いかもしれません。

3.音楽は人と人とを繋ぐ

みなさんも音楽フェスや好きなアーティストのライブに行き、音楽に合わせて動いたり、みんなと決まった振りをした時、一体感を感じたことはありませんか。集団で音楽に合わせて動くと絆が生まれ、コミュニケーションを取りやすくなることに繋がると言われています。このように、音楽は、人と人とを繋ぐ社会的側面の効果もあります。

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4.音楽選び方ヒント

 実際にどんな時にどのような音楽を選んだら良いのでしょうか。まずは、自分の好きな音楽であることが大切です。そして、基本的に、音楽を聴こうとした時の自分の状態や気持ちに合ったものを選ぶと良いと言われています。例えば、イライラしているときには、少し激しめの曲やアップテンポの曲、集中力を高めたいときには、クラシックや歌詞のないインストゥルメンタル、不安や緊張を和らげたいときには、優しくスローな曲などが良いと言われています。
私の場合は、その時の気分によって聴けるように、いくつかプレイリストを作成しています。例えば「今日は朝から頑張るぞ」とテンションをアップさせたい場合は、好きなアーティストの音楽でテンポの良い曲をメインに、「疲れた・・」と何となくリラックスしたい時には、好きなクラシックのピアノをメインに、といった感じです。みなさんもぜひ、「元気を出したいとき」「リラックスしたいとき」など、その時の気分によって聴けるように、好きな曲でプレイリストを作り、ご自身のストレス対処法の1つとして加えてみてはいかがでしょうか。

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参考資料
「音楽療法の基礎」 村井靖児 著

臨床心理士・公認心理師
高橋 美千代

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