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コラムVol.38 こころのセルフケア

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コラムVol.38 こころのセルフケア

はじめに

 ストレス社会と言われる中、企業においてメンタルヘルスの不調予防や対策は大切です。厚生労働省では、①セルフケア、②ラインによるケア、③事業所内産業保健スタッフ等によるケア、④事業所外資源によるケア、をメンタルヘルスの4つのケアと定めており、これらを軸にして企業内でのメンタルヘルス対策の実施を推奨しています。

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 今日はこの4つのケアの中でも私たちが自分自身で行える「セルフケア」について、お話したいと思います。


目次

1.セルフケアとは

 病院に行くほどでもないけれど、「何だか風邪をひきそうだな・・」「ちょっと、食べ過ぎて胃もたれしそう・・」と思ったとき、みなさんはどうしていますか。薬を飲む、いつもより早く寝るなど、いま以上に悪くならないように自分自身で行える対策をしているのではないでしょうか。このように、自分自身の健康を維持するために、自分でできることで自分の面倒をみることが「セルフケア」です。こころもストレスをため込んでしまう前に「セルフケア」をすることが大切です。

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2.ストレスサインを知る

 みなさんはご自身がどのような要因に対してストレスを感じ、体とこころにどのようなストレス反応が表れやすいか理解していますか。セルフケアで大切なことは、自分のストレスに気づく、いつもと違う自分に気づくことです。そのためには、自分自身のストレスサインを知っておくことが大切です。ストレスサインを理解しているからこそ、「あ!セルフケアして、これ以上悪くならないようにしよう!」と対処できるからです。

3.セルフケアの方法

 セルフケアには様々な方法があります。たとえば、音楽を聴く、睡眠、適度な運動、適切な食事、お風呂に入りリラックスするなど、みなさんが普段からやっていることもセルフケアのひとつです。今日は簡単にできるセルフケアをいくつかご紹介したいと思います。

①自分の気持ちを書き出す

 セルフケアには様々な方法があります。たとえば、音楽を聴く、睡眠、適度な運動、適切な食事、お風呂に入りリラックスするなど、みなさんが普段からやっていることもセルフケアのひとつです。今日は簡単にできるセルフケアをいくつかご紹介したいと思います。

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②大きく息を吐く(ため息をイメージ)

 ため息は心身の緊張や疲れを取ります。大げさに息を吐くことはどこでもニュアンス出来るセルフケアの1つです。息を吸いすぎるのは良くありませんが(副作用で過呼吸になることもあります)、息を吐き続けることは良いことです。

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③呼吸法

 ストレス状態が続くと不安や緊張が高くなることで呼吸が浅くなってしまいます。そんな時には、下記のように、深い呼吸を行ってみましょう。
  (1) 1.2.3で鼻から息を吸います
  (2) 4 少し止めて
  (3) 5.6.7.8.9.10とゆっくり少しずつ口から息を吐きます

呼吸法のコツとしては、吸う息よりも吐く息を長めにゆっくりと、吐いていきます。この呼吸法は、リラックス効果もあるため、覚えておくと良いでしょう。


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④身体の一部にギューと力を込めた後、力をパッと抜く

 これは、漸新性筋弛緩法と言われているものです。ストレス状態が続くと筋肉も緊張状態となるため、体の筋肉をリラックスさせることで、こころもリラックスさせていく方法です。緊張場面はもちろん、体のコリを和らげるときも役立ちます。

 やり方は、体の一部、たとえば両肩をギューと思いっきり力を入れて上に持ち上げ、3~5数えたら、肩の力をパッと抜く、両手のこぶしを力強くギューとにぎって、3~5秒数えたらゆっくり広げる、など、体の各部分に力を入れて緊張させ、その感覚を保った後にパッと力を抜いていきます。力を入れているとき、抜いたときの感覚を味わいましょう。

※呼吸法と漸新世筋弛緩法のやり方が載っている下記のリーフレットは、大阪府のホームページよりダウンロードできますので、参考にしてください。

URL:https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/13282/00000000/relax2015.pdf

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⑤五感を刺激してみよう

 日々のストレスに対応するためには、脳の健康も大切です。毎日、たくさんの情報を処理している脳の疲労回復には五感を刺激することが有効です。仕事で忙しいみなさんでも簡単に出来る視覚を刺激する方法をご紹介します。
 毎日通る道の景色にみなさんはどのくらい意識を向けていますか。駅に向かうことで精一杯で、気にせず素通りしていることが多いかもしれません。駅に行く途中、買い物に行く途中、洗濯物をベランダに干すときなど、まわりの景色を見渡して意識して空や雲を見上げたり、木、花などを見て、五感に意識を向ける時間を持ってみましょう。色々と考えてしまう脳を少し休ませてリフレッシュさせることができます。

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 セルフケアには様々なものがあり、今日ご紹介したのはほんの一部です。人によって合う方法、合わない方法があると思いますが、セルフケアの方法をたくさん知っているということは大切です。ストレス社会と言われている時代で、日々、健康で働くためには体だけではなくこころのセルフケアにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

資料:「セルフケアの道具箱」 伊藤恵美著
    大阪府ホームページ
    厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト 「こころの耳」

臨床心理士・公認心理師  高橋美千代

 

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