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コラムVol.30 自分の考えを上手に伝える方法【前半】

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コラムVol.30 自分の考えを上手に伝える方法【前半】

はじめに

 みなさんは職場などで自分の気持ちや意見をうまく相手に伝えることができているでしょうか。「自分より偉いと思う人には何も言えない・・・」「自分の考えはそうじゃないんだけど・・人と違う自分の意見をなかなか伝えられない」と思ったり、逆に後から「あの時は自分の意見を通すために配慮が足りなかったかな・・」と気まずい思いをした経験はないでしょうか。

 今回は前半と後半の2回に分けて、自分の気持ちや意見を上手く表現する方法の1つ「アサーション」についてご紹介したいと思います。

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目次

1. アサーションとは

本文を記入してください

2. 自己表現の3つのタイプ

本文を記入してください

①非主張型

相手を大切にしようとしますが、自分の意見や気持ちを上手く表現できないタイプで、日本人に多いと言われています。この場合、自分の気持ちや意見が相手に伝わりにくく、我慢によるストレスを抱えたり、「どうぜ自分はダメなんだ」といった劣等感などが心に残る場合もあります。

②自己主張型(攻撃型)

自分の考えや意見ははっきり言いますが、自分の言い分を相手に押し付けてしまうタイプです。
この場合、不満や怒りの気持ちが相手に残ることで、人間関係が上手くいかなくなったり、自分の意見が通ってもなんとなく後味の悪さが残ったりしてしまうことがあります。

③アサーティブ型

自分の気持ちや意見を素直にその場に相応しい方法で表現し、相手の気持ちや意見にも耳を傾けることができるタイプです。自分も相手も尊重しながら気持ちのよいコミュニケーションが取れるため、よりよい人間関係を築くことができます。

 さて、みなさんはどのタイプだったでしょうか。もしかしたら、職場・家庭・友人など場面や相手によってタイプが変わる場合もあるかもしれません。これらの3つの自己表現は、「いつの間にかクセになっていたり、特定の人との関係でパターン化されたりして、対人関係のつまずきが繰り返されることにもなる」と言われています。まずは、自分がどの相手との関係でどののタイプの自己表現になっているのか理解してみましょう。

 

3. アサーティブな自己表現

 「相手のことを考えると自分の意見は言えない・・・」など、相手に配慮するあまり自分の気持ちを上手く伝えられないとか、相手を尊重せずに自分の気持ちや意見だけを伝えればよいという自己表現は、自分または相手のどちらかしか大切にしていないため、アサーションではありません。

 考え方は人それぞれ違っています。そのため、意見の相違や葛藤が生まれるのは自然な流れとも言えます。お互いに違う意見を持つのは当たり前のことと受け止め、自分の意見も伝えながら、相手も意見が言えるように促し、お互いが共有できることや納得できる部分を探していくことがアサーティブな自己表現であり、アサーションと言えます。

アサーションではない自己表現-まとめ.jpg

 今回はアサーションとは何か、またアサーティブな自己表現とはどのようなものかについてお話しました。アサーションを身に着けることで、相手は尊重されたという感覚を持ち、お互いにより良い人間関係を築きながら可能性も広がっていきます。また、自分の気持ちや意見を相手に伝えられることで、ストレスや怒りを溜めないコミュニケーションにも繋がっていきます。

 次回のコラムでは、アサーションに役立つスキルについて具体的にご紹介したいと思います。

参考資料:平木典子著 「アサーション 自分の気持ちの伝え方」
臨床心理士・公認心理師 高橋 美千代

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