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コラムVol.29 怒りの感情との付き合い方【後半】

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コラムVol.29 怒りの感情との付き合い方【後半】

はじめに

前回のコラムでは、アンガーマネジメントとは怒らないことではなく怒りをコントロールして付き合っていく方法で誰でも身に着けられることや、怒りの感情とは何かについて取り上げました。今回は、怒りを上手くコントロールする方法についてご紹介したいと思います。

目次

急な怒りに対応するには…

怒りのピークは6秒

相手にイライラした時、考える前についつい言葉が先に出てしまうことはありませんか。そうなってしまうと売り言葉に買い言葉という状態になり、ヒートアップしてしまい最終的には相手との関係性も悪くなってしまいます。

 右のグラフのように、怒りのピークは6秒で終わると言われています。特に仕事関係など取返しのつかない場面で怒りが生じた場合は、「1.2.3.4.5.6.」とゆっくり数える、深呼吸するなどして怒りのピークをやりすごしてみましょう。

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タイムアウト

 安藤俊介氏のアンガーマネジメントの著書によると、「アメリカのアンガーマネジメントで最初に学ぶのがラン(=逃げる)という戦略」だそうで、怒りをコントロールする場合には有効と言えます。

みなさんもご存じの通り、スポーツの試合の時に監督がタイムアウトを取ることで、流れが変わるきっかけとなります。これと同様に、怒りがフツフツと沸いてきて「まずいな」と思ったら、一旦、体操やストレッチをするなど身体を動かしてみたり、お茶やコーヒーを飲んでみたりなどして、タイムアウト(その場から離れる)をすることで気持ちが落ち着いてきます。

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怒りの温度計

 過去を振り返ってみると出来事の内容によって、怒りのレベルが違っていませんか。
まずは、どのような出来事がどの怒りのレベルなのかを自分の中の怒りの温度計を使って数値化してみましょう。
 0はイライラなどのない穏やかな状態、100は怒りが爆発する状態と考えた時に、みなさんが過去に怒りを感じたそれぞれの出来事は何度くらいだったでしょうか。
温度計で数値化することで、同じ感情でも強さの違いがあることや、どのような出来事のカテゴリーに対して怒りを強く感じる傾向があるのかなど、客観的に自分の状態を把握することが出来ます。その怒りのレベルに合わせて対策を考えてみましょう。

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アンガーログで「べき思考」を見つけよう

 前回のコラムで自分の「~は〇〇すべき」または「〇〇すべきではない」といった「べき思考」が怒りの原因となっていることをお話ししました。

 では、自分の「べき思考」を見つけるためにはどうしたらよいのでしょうか。まずは、怒りの記録(アンガーログ)をしてみましょう。アンガーログはなるべくその場で、その都度、その都度、その場で日時、出来事と怒りの温度計に当てはめるとどの程度だったのかを書き留めます。(何か良いアプリがあればそれを利用しても良いでしょう。) アンガーログを後で見直してみることで、自分のイライラの原因となる「べき思考」がどこにあるのか見えてきます。「人はそれぞれ考え方が違うから、まぁこの部分は仕方ないか」など、許容範囲を少しずつ広げてみましょう。

 前回のコラムでもお話したように、怒りの感情は悪いものではありません。今日ご紹介した方法を上手く利用して、自分がどのような怒りの傾向あるのか、どのような「べき思考」があるのかを自己分析しながら、怒りと上手く付き合ってみてはいかがでしょうか。

参考:著書「怒りが消える」心のトレーニング、安藤俊介

臨床心理士・公認心理師
高橋 美千代

 

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