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コラムVol.28 怒りの感情との付き合い方【前半】

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コラムVol.28 怒りの感情との付き合い方【前半】

はじめに

現代はストレス社会とも言われています。「以前よりイライラするなぁ・・・」、「怒りっぽくなったな・・・」という場面が増えていると感じる方もいるかもしれません。怒りの感情は人間関係、仕事や家庭にも影響を及ぼしてしまうことがあります。では、怒りの感情と上手く付き合っていくにはどうしたらよいのでしょうか。今回と次回のコラムでは怒りの感情を上手くコントロールする方法として「アンガーマネジメント」についてご紹介します。


目次

アンガーマネジメントとは

  怒りの感情と上手く付き合っていくために1970年代にアメリカで生まれた心理教育・心理トレーニングで、 日本アンガーマネジメント協会では、「怒りの感情で後悔しないこと」と定義しています。アンガーマネジメントとは、怒らないことではなく怒りをコントロールして付き合っていく方法で、誰でも身に着けられるものとされています。

怒りの感情とは

 そもそも怒りの感情とはどのようなものなのでしょうか。
怒りは二次感情と言われています。二次という言葉で分かる通り、怒りの下には「不安」「恐れ」「悲しみ」「心配」などの一次感情が隠れています。

 例えば、仕事の量が多く自分でコントロールできなくなると「こんな量の仕事できるわけない」「どうしてこんなに大変なのに会社は分かってくれないのか」といった怒りの感情が沸き上がってくることがあります。この怒りの根本には、仕事に対する不安、心配、辛いなどの感情が隠されているかもしれません。怒りの感情の下にどのような一次感情が隠されているのかを意識することが大切です。

怒りの原因となる思考「べき思考」とは

 「べき思考」とは、自分の「~は〇〇すべき」または「〇〇すべきではない」といった考え方のことで、怒りの下にはこの思考が隠されていると言われています。怒りを覚えた時のことを振り返ると、「~してくれてもいいのに」など、相手が自分の価値観や期待と違った反応をすると怒りを感じてしまったことはないでしょうか。これは、「~するべき」という思考が働いているからです。

 怒りのスイッチとなる「べき思考」は、人によって異なってきます。そのため、自分が大切にしていることや、怒りのスイッチの傾向を知ることが大切です。

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怒りの感情は悪いものではない

 怒りの感情は人間関係の悪化を招いたり、不快な感情を人に与えてしまうため、悪い感情といった印象を持っていませんか。しかし、怒りは失ってはいけない大切な感情の1つです。

・『負けてたまるか』という怒りの感情が原動力になる。(羽生結弦選手)
・怒りは、しばしば道徳と勇気との武器なり。(アリストテレス)

といった言葉から分かるように、怒りは何らかの原動力にもなる感情と言えるため、上手く付き合っていくことが大切です。

 今回は怒りとはどのようなものか、についてお話をしました。次回のコラムでは、今回の内容を踏まえて怒りを上手くコントロールするアンガーマネジメントの方法について具体的にお話したいと思います。

参考:著書「怒りが消える」心のトレーニング、安藤俊介
   日本アンガーマネジメント協会HP

 

臨床心理士・公認心理師
高橋 美千代

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