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コラムvol.3 超高齢社会を考える

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コラムvol.3 超高齢社会を考える

少子高齢化が問題視されるようになってからかなりの年月が過ぎました。
国は出生率上昇のため出産や育児に伴う休暇や手当の拡充、待機児童の解消などの対策を打ち出していますが、その効果は現在なおはっきりと見えるまでには至っていません。
高齢化を止める事は不可能なので少子高齢化問題を解決するためには単純に人口を増やすしか手の打ちようが無いのですが、2011年を境に減少段階に入ってしまい、最新のデータ(2020年11月時点)では総人口のうち高齢者(65歳以上)が占める割合は29%を超え、世界第1位となり、WHOが定めた14%以上を超える「高齢社会」という定義すらも軽く上回り、日本は有史以来人類が経験したことのない「超高齢社会」となっています。 

もともと1970年には高齢化社会の目安である7%をすでに超えていたので50年でどれだけ高齢化が急激に加速したかが分かるのですが、高齢化社会の定義から脱却するためには現在3,617万人いる高齢者に対してざっと5億人の人口が必要な計算になります。
世界の人口はゆるやかな増加傾向にあるのですが、いわゆる先進国は軒並み現状維持か後退となっており、先ほどの高齢化率も2位イタリア、3位ポルトガルと北欧諸国ばかりが続き、アジア圏内では48位の韓国(15%)までお手本となる国は今のところありません。

ところが高齢者の数の多さに対して就業人口を諸外国と比較してみると、日本は世界で第9位となっており、およそ6700万人の人達が働いて収入を得ており、思ったよりもその数は少なくありません。人口の多さから言って中国やインド、アメリカ、インドネシア、ブラジルが上位を占めているのは当たり前なのですが、日本と近い数の1億2千万人前後の人口がいるメキシコ、エチオピア、フィリピンなどの国の就業人口は日本よりも下位に位置しています。
これは一説には日本人は自営業者の人数が多く、定年等に縛られずに割と高齢者でも多くの人が働いている現れだという見方があります。
逆の見方をすると福祉や年金制度に不安があって働かなければならない社会だということかもしれませんが、若い世代の失業率が高かったり国内経済の未熟さゆえに日々の生活に苦しんでいる国と比べれば日本はまだ仕事を選ばなければ働く場があるだけ幸せなのかもしれません。

働き方の多様性を前回論じましたが(「コラムvol.2 多様な働き方」参照)、それは危機に瀕したその場限りの概念(超高齢社会も充分危機的状況ですが)ではなく、働きがいを満たし、健康的な生活を送り、65歳を過ぎても自分のライフスタイルに沿って働く事ができ、年金のみに頼らず収入を得て、なるべく福祉や介護の世話にならずに生涯現役で一生を終えるという人生を送る働き方が出来るような継続可能な多様性であれば、幅広い人達の幸せを実現しうる社会になるのではないかという考えは飛躍した理想論になってしまうでしょうか。

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