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コラムvol.9 今だからこそ労災防止意識を高めよう

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コラムvol.9 今だからこそ労災防止意識を高めよう

厚生労働省が発表した「令和2年における労働災害発生状況(確定)」による全産業での労災による死亡者数は802人となっており、年々その数は減少して毎年過去最小数を更新しています。不幸にも仕事中に業務が原因で事故に遭い、命を落としてしまう人が一人でも少なくなるよう、この記録は毎年最小数を更新することが望ましいです。

業種別に労災死亡事故数を見ると建設業がもっとも多く、次いで製造業が多く割合を占めています。仕事の内容的に事故の起きる確率が高いのは想像に難くないですが、接客娯楽業や福祉などの保健サービス業においてもゼロでは無いことは少し意外に感じます。総務省の「労働力調査」において、令和2年度の業種別就業人口の割合は全業種約6,676万人に対して建設業が7.4%、製造業は15.7%、宿泊飲食業は5.9%、医療福祉業は12.9%となっています。建設労働者数が思ったより少ないのは驚きですが、全産業の就業人口に対しての割合が他の業種に比べて少ないにもかかわらず死亡事故の発生件数が多いということは、それだけ危険な仕事や環境で働いているということが良くわかります。製造業も建設業に比べて就業人口が多いうえ、大型の機械操作や化学薬品などを使った業務を行って何か操作を誤ったり、取り扱いに瑕疵があったりすれば重大な事故が起きるのは想像しやすいので確率的にも2番目に死亡者数が多いのも理解できます。そういった理由からいわゆる第一次産業、第二次産業においては職場の安全意識は高く、発生防止対策も常に高い意識を持って取り組まれているでしょう。(残念ながらそれでも比較すると事故は多く発生していますが)。

では、医療・福祉や接客などのサービス業が含まれる第三次産業についてはどうでしょうか。業務の遂行上果たして死亡につながるような事故が起きるのでしょうか。こちらについては個々の発生事例を詳しく知ることは出来ませんので想像するのが難しいです。実際にその職業に就いている人たちもまさか自分が業務中に事故で死亡するとは夢にも思っていないでしょう。自分の会社や仕事では事故や怪我などが滅多にない業務内容だからと油断せず、場合によっては死亡につながる事故もあるのだと、すべての業種において安全管理は日常の業務の中で決して軽んじずに折に触れ職場内で意識を共有しておくべきでしょう。年々その数は減っており、死亡するケースは稀だとしても、先の「令和2年における労働災害発生状況(確定)」統計では死亡事故以外の労災発生件数は毎年ほぼ横ばいとなっています。つまり、業務の遂行またはそれに起因することで怪我や病気になる人は減っていないわけです。

その中でもここ数年で申請件数が急激に増えてきたのが精神障害の労災です。業務による強い心理的負担が原因でメンタルヘルスに不調をきたしたり、最悪のケースでは自死にいたる労災です。脳や心臓の突発性疾患による労災申請数も年々増えています。これらは、先に述べた業務遂行中に安全確保ができず事故が起こることで怪我をしたり死亡したりするといった原因が分かりやすい事例ではなく、長期に渡り、仕事による強いストレスが起因することで起きる心身の不調・発病をさすもので、原因を特定するのがとても困難なものになります。

精神障害の労災申請件数は年々増え、厚生労働省が発表している令和元年度の「精神障害に関する事案の労災補償状況」によると平成27年度には1,515件の申請件数であったのに対し令和元年度は2,060件と毎年増加傾向にあります。業務上の労災と認めた支給決定件数は平成27年度で472件(認定率36.1%)、令和元年度では509件(認定率32.1%)で、こちらは毎年ほとんど横ばいが続いています。厚生労働省では「精神障害の労災認定」というパンフレットを発行しており、その中で認定基準を細かく定めていますので、申請件数が増えているにもかかわらず支給決定件数が増えていない(率ではむしろ下がっている)ことの原因は不明ですが、先に述べた通り、長期にわたる仕事による強いストレスが直接の原因で心身の不調や発病が起きたのかを判断するには相当な労力と時間を要するのでしょう。

日々の業務に追われ、中期的な予定の進行に意識を奪われ、ほんの些細な不注意で仕事中に怪我をしたり万が一死亡するなどということは絶対にあってはならないですし、知らず知らずのうちに過労やストレスが蓄積することで何かしらの病気に罹患するということも本来あってはならないことです。
このコラムでは繰り返しになりますが、日本という国は人口減少、超高齢社会、働き方の多様性などが想像以上に加速度的に進行しています。我々が取り組まなくてはならない課題が目の前にたくさん突きつけられているのです。労災に関しては交通事故の死亡者数もそうですが、その数が統計上減少しているからといってその発生リスクを軽視するわけにはいきません。些細な不注意による怪我や仕事の負荷が蓄積して心身不調に至るケースは就業人口が減っていても比例して減少していません。これらのことについて職場での教育、意識の共有をしておくことが日頃の業務と同じくらい大事だということをあらためて感じずにはいられません。

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