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コラムvol.6 令和3年4月の法改正について

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コラムvol.6 令和3年4月の法改正について

令和3年4月1日より高年齢者雇用安定法が改正されます。
今まで65歳までの雇用確保を義務付けていたものにあくまで努力規定としてですが以下の項目が追加されます。

①70歳までの定年引上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度の導入
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事出来る制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業

現行の法制度では65歳までの定年の引上げ、定年制の廃止か継続雇用する制度の導入が義務付けられているだけでしたが、高齢従業員の雇用を継続するために上記のいずれかの制度を導入するよう努めなければなりません。

関連コラムで何度かテーマに挙げてきましたが、わが国の少子高齢化とそれに伴う労働人口の減少はすさまじいスピードで進行しています。
これに歯止めをかける特効薬は未だ見いだせていません。今回の法改正も少しでも労働力を確保しようと苦肉の策のように見えますが、
直面するマンパワー不足を解決するためには真剣に取り組む必要に迫られているでしょう。
年齢が上がるにつれ給与も上がり続ける現行制度や高齢者は生産性が低いといったイメージにとらわれ忌避する時代はもう終わらせなければいけないのです。
教育指導役として若手従業員の定着が上がったり、長年培った技術や経験による生産性の向上などを実現し、
結果としてほかの従業員の処遇改善に結びついたりすることもあるでしょう。
雇用を継続せず委託契約で高齢従業員に職務を遂行してもらうことで賃金の問題を解決することは可能でしょうし、
身体的な衰えによる生産性の問題に対しては設備・機器などを導入して作業負担を軽くする事が可能でしょう。
コストはかかるかもしれませんが、高齢従業員のために制度や設備を充実したとあれば、
高齢者に魅力的な会社となり労働意欲も増し、波及効果として若年従業員の意欲も上がるのではないでしょうか。

ただし何点か気をつけないといけないのは、
年齢にかかわらずですが安易に委託契約を結んで業務を行わせ労災事故や契約更新の際に訴訟となり労働基準法や労働安全衛生法上の労働者としてみなされてしまうケースが実際の判例として少なくありません。
また、健康管理面でも若年層よりも充実させて業務上・外でのサポートを手厚くしてケガや病気に備えておかなければなりません。

これまでイメージとして前向きになれなかったものに対して発想の転換を試み、
新たな価値を生み出していくことは何も高齢者の雇用制度を拡充することに限った事ではありません。
激動する社会において生き残りをかけるために新しい価値を生み出す一つのヒントとして今回の法改正を捕えてみるといかがでしょうか。

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